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【ニュース】連載コラム第1回-代表理事・坂本忠弘「東北の復興に必要な『顔の見える金融』」<構想日本・JIメールニュース(2011年11月24日号)より>

2012年02月24日

東北の復興に必要な「顔の見える金融」
 
坂本 忠弘
 
「緊急支援は援助だが、復興局面では地場産業への投資が必要となる。」
今年初め、国内災害緊急支援を行うNPO、シビックフォースのメンバーとそのような話をした。援助は貴重なものであるが、その永続性には疑問が残る。誰かに依存しすぎると、誰かがそのツケを負わなければならなくなるものだ。国に依存しすぎ、巨大な債務が積み上がり、そのツケをどう支払っていくのか。いま起きている国債危機は、そういうことではないか。
 
グローバル化の中で、金融の動きはおかしくなった面がある。地域のお金(預金)が地域の事業に循環(融資)する「金融の地産地消」では、顔の見える長い関わりが強みであったが、それが失われてきた。顔の見えない相手先への投融資は、リスクを分散するという題目のもとで行われてきたが、近年は、お金の行き先との関わりが希薄になったことで、かえって大きなリスクを生み出すケースもしばしば起きている。
 
東北の地場産業の復興への動きに目を向けてみると、まず再起への資金の手当てをどうするかが、最初のハードルとなっている。小さな事業者は基盤となる資本も小さい。そのため、被災の打撃で設備等の物的資産が失われた上に、借入となる融資を受けることも難しい場合が多いのだ。政府は二重ローン問題等に対する施策を打ち出しているが、復旧見込みが立ちやすい大きな企業から手を付けていき、地域に根ざしている小さな事業者への対応は後回しになりがちだ。金融機関も自らの体力の温存を意識してなかなかリスクはとれないという。
 
しかし、そのような中でも立ち上がろうという動きはある。「元に戻るだけではだめだ。色々な人が関わってくれるこの機会に、新たな展開を切り拓いていかなければ」という声が、一つ一つは小さくとも、確かにある。事業者にとって、できるだけ早く、できるところから事業活動を再開することが、生産連携先や取引先顧客との縁をつなげて、生命力を復元し、高めていく源となるのだ。
 
先述のシビックフォースによる災害支援活動には10億円を超える寄付がよせられた。この一部を原資に東北の地場産業の復興を支援する新しいタイプの基金を創ろうと、復興段階に進む中で具体的な構想づくりを始めた。キーワードは、「共益投資」。単一企業の復旧にとどまることなく、関係する取引先・従業者・地域社会に復興の動きが波及していくような「共益事業」に目を向け、資本としての資金を提供していく。
 
寄付を原資に、事業投資を行い、再起の実現とともに償還された資金は、震災支援を続ける東北地域のNPO等に助成のかたちで再投資する。事業性と社会性を組み合わせた、二度の資金循環を実現していく。皆で知恵を出し合い、このような新しいつながりの環をつくる基金、「東北共益投資基金」が、近く正式に活動を始めることとなった。
 
既に、石巻の雄勝で600年の歴史を持つ硯の生産販売協同組合とは、硯(すずり)や石瓦の再起だけではなく、文房四宝(硯、墨、筆、和紙)での連携、また、漆黒の皿として食器事業の新たな展開を通じて雇用を拡大し後継者を確保する動きを進めている。また、東北各地の伝統工芸の支援事業者とは、その技の承継と産業としての新たな展開を図っていく話を始めている。さらに、沿岸部の水産業地域では、地場の生産販売生態系といえるものの中で、鍵となる位置づけや役割をもつ事業者の存在に目を向けているところだ。
 
この新たなコミュニティ金融のアプローチが、各方面の動きの触媒となればと思っている。伝統産業を守るために被災の現場から立ち上がっている生の声を聴いていただきたい。

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