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【ニュース】連載コラム第5回-吉田哲也さん「起業により、継いでいくべきものの新たな再生を」

2012年04月19日

起業により、継いでいくべきものの新たな再生を

2012/4 吉田 哲也(東北共益投資基金・「復興起業キャピタル」担当アドバイザー)

ただ茫然と眼前に広がる様子を言葉もなくみていた。そのような経験はこれまでも、その後も一度もない。2011年4月16日、震災後初めて、泥かきのボランティアをするため宮城県の女川町にマイクロバスで赴いた時のことである。現地のコーディネーターの招きで、女川の市民病院の駐車場からあたりの光景をみて立ちつくした。言葉がなかった。しかし、その場で同様にひとりたたずむ地元の初老の女性ががれきを指差して発した、「あそこが私が生まれて数十年すごした場所だったのよ。津波は仕方なかったの。自然の力だから。何もなくなったね。この光景をみて東京の皆さんにお伝えしてね。」という言葉を聞き、自然と対峙し続けてきた東北の方々の真の負けない力を心から感じ、目の前のがれきはあるものの時間がかかってもこの場所は必ず再生すると確信した。

この国の地方の地域力を再浮上させることは東北に限らずどの地方にも存在するクリアしなくてはならない大きな課題である。しかし現実は多くの地域では諸々のしがらみから動きがとれていないものと実感している。その点、現実的に「何もなくなってしまった」東北では新しく作ることでしか地域の再生はなせないと考えている。そして、そこに住み続けるためにも、地域を「継ぐべきもの」として存在させるためにも、被災の現場において、キャッシュフローを生みだす持続可能な仕組みをもって新しい雇用を創出し、地域を活性化していく営みが不可欠だと考えている。地域の方々の力、現場の力で新しい事業が成長するための先行投資として、東北共益投資基金の「復興起業キャピタル」が一定の成果を収めることができたならば、そして、被災地からそれ以外の地域における活性化モデルとして波及してければ、日本全体の活力になろうかと考える。

私自身は、江戸時代から続いていた実家の商家を公の道路拡張計画により不本意にも解体させられ一旦畳んだものの、のれんを継ぐことが自らの宿命と信じ、ゼロから独立起業することにしたものである。今回の震災とは次元がまったく異なっていることを理解はしているが、人為的な要因ではあったが本意でなく、私の実家も解体され、昔の思い出が何もかもなくなってしまった。しかし、何かを継いでいくためには新しく立ち上げることが必要だと考えスタートさせた。その際、きっかけはともあれ、覚悟することが重要と心に刻んだ。

引き続き地方の企業および地域の再生支援を継続して実行している身として、また継ぐべきものを再生させるために起業した私の経験が、少しでもお役に立てられればと考えている。               

吉田 哲也(よしだ てつや)

メガバンク勤務後、ベンチャー企業、企業再生ファンド等の勤務を経て、地方企業の再生業界の現場でこの10年働いてきた経験を持つ。在籍した企業再生ファンドでは、東北地方の地方銀行担当として、数行と提携して、地域企業再生ファンドを運営していた。現在は、東北共益投資基金「復興起業キャピタル」の担当アドバイザーを兼務。

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