新しい地域経済を創造する 共益投資基金JAPAN

基金JAPAN facebookページ 東北共益投資基金 facebookページ
ホーム インフォメーション ニュース 【レポート特別編】米国大使館・東京アメリカンセンター主催の講演への登壇ご報告

インフォメーション

ニュース

【レポート特別編】米国大使館・東京アメリカンセンター主催の講演への登壇ご報告

2012年06月21日

アメリカ史上最悪の自然災害といわれているハリケーン・カトリーナの被害については多くの震災関係者が研究をされていますが、6月11日(月)米国大使館・東京アメリカンセンターで開催された「あなたも起業家に、投資家になりませんか 復興と起業をつなげるアイデアを今一番ホットなニューオーリンズから!」という災害復興のありかたを学ぶ会に、当基金が招聘されました。

resize0038.jpg

ニューオーリンズで起業家を育てる「アイデア・ビレッジ」の代表を務めるティム・ウィリアムソン氏をゲストスピーカーに、CAC 社会起業家研究ネットワーク代表 一般社団法人DSIA常任理事 服部篤子氏がファシリテーターを務められました。カトリーナの経験を活かした事業コンセプトや「共益投資」「起業キャピタル」の発想に注目いただき、当基金から代表理事の坂本忠弘がコメンテーターとして参加しました。

ティム・ウィリアムソン氏が考えるアントレプレナーとして成功する5つの秘訣

resize0032.jpg

【全ては「エコシステム(起業家のための生態系)」を整える事からはじまる】

1)   起業は地域のためのもの

ここでいう起業は収益追求のモデルではなく、その地域に必要とされている事を具現化する手段です。フランチャイズ出来るものではない事をあらかじめ理解しておく必要があります。

2)   問題は何か?課題を特定する

カトリーナが来る前からニューオーリンズは高齢化し、人口流出、犯罪率上昇、出身者は故郷に誇りを持てない状態でした。「この街を家族と一緒に住みたいと思えるところに変えないか?」帰省し、バーに集まった友人とそう話した所からチャレンジが始まったそうです。ハリケーンはきっかけにすぎません。元々その地域にあった課題に正面から向かい合うことで、地域社会発展に役立つ真の課題解決に着手します。

3)   リーダーを見つける

政府や大学が起点となったリーダー探しは駄目だと言われます。それはこの生態系づくりは起業家のためのものだからです。情熱・知識は勿論のこと、その都市を心から愛し、世代にわたる変化を起こし、多様な人、地域をまとめる誠実な人が求められます。また、ウィリアムソン氏の実経験からその実現には12年程かかると想定され、それに耐えうる精神の持ち主であることが重要とのことです。

4)   見つけたネットワークをどう組織化するか

前例のない事を始めるには反対意見があって当然です。賛同してくれる人を丁寧に探し、大学・メンタ―・資本家・専門家・技術屋・行政・企業体といった立場の異なる方を協力者として繋いでいきます。ウィリアムソン氏は12年かけてアントレプレナーに興味の無かったこれらの人々に語りかけ、今では「産・官・学」の連携が取れた支援システムの構築に成功されました。

5)   資源が少ない程気持ちに火が着く

カトリーナ以降それまでの経営資源を失ったニューオーリンズでしたが、その状況が住民の心に火を着け、その多く・街全体が「何とかしよう」と起業家になりました。これは封鎖社会に穴が開いた瞬間であり、それ以降、街の外の文化との交流も盛んになっていったといいます。このマインドが定着する事で、資本を持った人は自分が何に投資をしたいのか(水問題・教育・医療など)を言葉にすることによって、その解決方法を持ったアントレプレナーが集まってくる、という資本家発のビジネスモデルも出来上がっていきました。

【当基金が考える起業成功へ導く5つのポイント】

1)   そろばん感覚

事業の継続性を鑑みた数字認識は重要で、収支、採算が合うのかにはこだわりが必要だと考えます。

2)   変革を起こすリーダー像

変化に挑む意志とコミュニケーション力が必須であり、特にコミュニケーション力については相手や周りの人が何を求めているのか、不満に思っているのかを察する能力に長けていること、相手の立場に立ち橋渡しができることと考えます。

3)   マネジメント

  リソースには限りがあります。どのタイミングでどこへ力を配分するのか?その判断力が重要と考えます。

4)地域の文化を活かす

  地域の内外の交流を通してアイデンティティーが客観視され、評価される新しいものが見つけられると考えています。

5)ビジネスセクターの参画

当基金にもユニクロのファーストリテイリング社より早くから資金拠出をいただいていますが、社会を育てる意味合いで、もっともっとビジネスセクターの参画が増えれば良いと考えています。「エコシステム」に関わる人はどうすれば増えるのか?キャリアデザインの変化・多様化が同時に進むことが望まれます。

会場から「様々な人々と繋がりを産み出せても、それを上手く継続できないのが現実だと思います。何かポイントはありますか?」と質問が出ました。JAZZの街でもあるニューオーリンズはお祭り好きな人の多い地域性を活かして、フットボールのシーズンと同じように「アントレプレナーシーズン」を立ち上げたそうです。毎年7月に新しい年度をはじめ、「起業家を募る時期」「起業家に教育を施す時期」「資本家を集める時期」「起業アイディアコンペ実施時期」等、参加者それぞれが“自分がどこで参加し役割を果たせるか”予測可能なリズムを産み出し、カレンダーにして可視化することが秘訣だと言います。企業がシーズンに合わせてアクションプランを練ってくれるようになればしめたもの。年度末には関わった方全員を集めて祭りを開催することで、参加者は次年度が楽しみになる、そんなサイクルが出来上がっていきます。

resize0033.jpg


アントレプレナーは誠実なブローカーで相手が何を欲しているのか常に考え、提供には必ずお返しをし、誰かの一人勝ちになるような形に持ち込みません。今ではGoogle、Goldman Sachs、Salesforce、Ciscoなどが自主的に関わる形が出来ていると言います。これは復興活動という『特別な経験の場』を提供できることが起業側に参加するメリットを産んだからだそうです。ひいては起業家の街に携わる、起業家を育てることは社会にとって素晴らしいことだ!というブランディングに成功しています。Googleはこのタームも30名の技術者を講師として派遣していますが、これは社員が良い経験を積む企業研修の一環として捉えられ、費用はすべて法人負担で行われているそうです。「無いものねだりより、今あるものを最大限に活かす、そのプロセスの中で新しい活力が生まれていく」・・・まだまだ出来る事は沢山ありそうです。

東北共益投資基金自身、設立してまだ1年未満の組織です。やってみなければ分からない事が沢山有る中で、やってみて初めて分かる面白さを感じている毎日です。事業の根幹をなす資本を提供することで、行動に継続性を生み、東北を起点として新しい社会を創造する一助となれるよう、我々も歩みを進めていきたいと思います。

----------------------

ティム・ウィリアムソン氏略歴:ルイジアナ州ニューオーリンズにて、起業家支援活動を行なうNPO「アイデア・ビレッジ」の共同創設者兼CEOを務める。ウィリアムソン氏自身、シリアル・アントレプレナーとして、これまで5つのベンチャー企業を4つの都市で立ち上げた経験を持つ。アイデア・ビレッジによる起業家育成支援エコシステム構築もあり、ニューオーリンズは今やアメリカ南部有数のベンチャー集積地へと変貌を遂げている。チュレーン大学から財政学学士号を取得した後、数多くのベンチャー起業家達を輩出してきたスタンフォード大学Executive Programで学ぶ。これまで起業に関する多くの講演を行っている他、起業家育成に関するそのユニークな発想と活動から数々の賞を受賞している。

ページトップへ