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レポート

雄勝硯プロジェクト

硯の匠の新展開-食器づくりへの挑戦

2012年05月24日

☆雄勝硯プロジェクトのレポートのバックナンバーはこちらよりご覧ください。

「文房四宝」(文房具の四つの宝:硯、墨、筆、紙)の中でも、硯は世代を超えて受け継がれるものとして重宝され、雄勝町では、国内生産量の約 90%を担ってきました。その一方、600年の伝統を誇る工芸品・雄勝硯でさえも、文房具の近代化の波に押されて、硯の一般の消費者市場規模は縮小の一途をたどっていました。更に、学童用硯を大きな収益源としていた雄勝町の硯産業は、少子高齢化による学童数の減少、外国製の廉価商品の市場流通という、苦しい状況に立たされていました。

それらを打開するべく、雄勝硯の原石である雄勝石(玄昌石)を利用し、花台、置物等、工芸品の展開を開始したものの、大きな局面打開にはつながりませんでした。

そんな中、「雄勝硯生産販売協同組合」3代目理事長・澤村文雄(澤村製硯・代表取締役)さんは、硯の“匠”を活かした新展開を模索、母材・雄勝石(玄昌石)を使った食器の開発に着手しました。試行錯誤を経て、形状やデザインはもちろん、表面のコーティング塗料なども含め、およそ1年の開発期間を経て、ブランド名を「玄昌石皿」として、市販にこぎ着けました。

「玄昌石皿」は、雄勝石そのものが持つ漆黒の色合い、自然の産物でもある、石を切り出した際に生まれる断面がそのまま活かされています。それらに職人による磨きの技術が融合して、お皿それぞれが、工業製品にはない独特の温かみを有した、世界に二つとない皿となっています。また、硯製作で培われた職人の技術があればこそ、ある程度の損傷までは補修する事ができるというのも、大きな魅力の一つです。商品の中にはGマーク(グッドデザイン賞)を獲得しているものもあるなど、デザイン性も高く評価されています。

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※「玄昌石皿」のパンフレットはこちら(PDFファイル)よりご覧ください。

商品化以降、澤村さんの営業努力と、玄昌石を用いた食器そのものの高い付加価値により、個人経営の飲食店はもちろん、食器関係の卸売販売業者、東京の大手外資系ホテル、結婚式の引出物などに使われる贈答品カタログ業者など、順調に顧客を獲得していきました。

2011年2月、出品したトレードショーにて多くの新規潜在顧客とのつながりを獲得し、商談に向け準備をするさなかに、雄勝町を、東日本大震災が襲いました。

ぎりぎりの中で助かった澤村さんは、「のちのち(組合が)3代目で終ったと言われるのは嫌なので」と、いち早く立ち上がりました。再起にあたり澤村さんは、「食器づくり」を再開して、新しい産業に育て上げることを決意しました。

その澤村さんの思いは徐々に周囲に伝わり、宮城・塩竈市のフランス料理店など、食器への注文が数多く寄せられるようになりました。

☆雄勝硯の新展開が昨年、TBSで取り上げられました。こちらからご覧ください。

「玄昌石皿」は、600年の歴史で培った雄勝硯職人の技によって生み出され、形を変えながらも、親子孫へと未来に受け継いでいくことのできる、世界に1つしかない「宝物」です。

今後は、「玄昌石皿」を、伝統産業である雄勝硯を受け継いでいくための収益源の一つとしていく方向です。顧客層を拡大すべく、Webサイトでの販売や海外への進出も視野に、積極的な展開を図っていく予定です。また、「伝統」と「新境地」をテーマとして、新たな展開を視野に入れたブランディングをしていく計画です。

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「玄昌石皿」は現在、雄勝町の仮設事務所にて展示販売をしているほか、順次、出荷をしています。協同組合の関係者の皆さんは、市場展開に大きな可能性を確信しており、一日も早く、積極的に推進していきたいと考えていますが、生産力にまだまだ課題が残っています。生産設備機材の整備は概ね完了しましたが、手作業を要する工程は人手不足が続いており、硯生産との共通の課題として、このマンパワーをいかに補強していくのかが、大きな課題となっています。

地域での雇用創出を図るべく、大幅な生産力向上に向けた生産基盤強化も視野に入れていますが、東北共益投資基金としては、これまで通り上記の経営課題への支援を進めながら、生産力を横目に見つつ、ブランディングから販路開拓に向けて、専門家、外部協力者とも積極的に連携しながら、支援を継続していきます。

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