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レポート

及川電機プロジェクト

従業員とともに、地域新生へ-及川電機・及川雅貴専務取締役

2012年05月24日

☆前回のレポート「地域新生の"エンジン"として-石巻の水産業を支える船舶機器業者のさきがけ再起」はこちらよりご覧ください。

東日本大震災によって、東北地域のサプライチェーンが大きな打撃を受け、地域雇用の担い手だった中小・中堅事業者による維持が極めて難しい状態となり、震災後間もない2011年5月には、被災した岩手、宮城、福島の3県の失業者数が10万人を超えたとの報道もありました。

震災発生から1年が経ち、事業者の再起の動きが進んだこともあって、被災主要3県(岩手、宮城、福島)の地域別有効求人倍率は、岩手は0.46 → 0.82、宮城は0.49 → 0.95、福島は0.49 → 0.82と、徐々に改善してきました(2012年3月、厚生労働省調べ。季節調整値、新規学卒者を除きパートタイムを含む)。一方、雇用保険の受給者は6万人を超え、震災前のおよそ2倍の水準となっており(2012年1月時点、復興庁調べ)、被災地での雇用のミスマッチの現状が浮き彫りとなっています。

東北共益投資基金の第三号案件、及川電機では、震災後わずか数ヶ月で事業を再開しましたが、及川幸八社長は、「従業員からの『(事業を)早く再開させましょう』との声が、背中を押してくれた」と、その当時を振り返られています。

震災発生から1年強、及川電機では、従業員の皆さんとともに、どのように歩んできたのでしょうか。及川社長と共に事業を推進する、専務取締役・及川雅貴さんから、お話を伺いました。

 

震災前には10名の社員が実働していましたが、いずれも実務経験10年以上、長年に亘って社業を支えてくれた経験豊富な社員ばかりです。そのうち、現在でも9名が残っています。次世代を担う若手の育成は震災前から推進しておりましたが、2011年6月~9月くらいまで、アルバイトを3名、雇いました。そのうち、現在は1人が正社員で残っています。

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地域では、業種を問わず、雇用の需給のミスマッチが生じているとの声を聞きます。当社では、取引先から「人を(現場に)はりつけてほしい」との要請もあり、今後も、受注状況等を考慮して、採用活動は継続していく方針です。

従業員からの「(事業を)早く再開させましょう」との声は、従業員の総意でした。一方、復興需要もあって震災直後から相応量の受注をいただいたおりましたが、その当時は街に明かりがなく、防犯の観点からも早時退社を推進し、従業員に負荷をかけないような運営を心掛けました。取引先から、納期についてご理解をいただけたことも、とても有難かったです。おかげさまで、それは現在も継続できております。

震災前は明確に役職を設けておりませんでしたが、日々の業務では世代ごとに役割を認識し、現場には、ベテラン(40、50代)が若手(20、30代)を同行して現場に行くという体制ができていました。一方で、若手がベテランに遠慮してか、若手が指示を待ってしまうようなことが散見されました。

ただ、震災が、特に若手にとって自分の役割を見直すきっかけとなり、同世代の横のつながりが強化されて、主体的な動きが目立つようになりました。そして、ベテランが、それをサポートするという流れが自然とできてきております。

長きに亘って管理部門と現場のつなぎ役を担っていた工場長が、震災後、顧問のような存在として社業に係わるようになったことにより、トップダウンのような状態から、ラインごとに責任者を中心とする“合議制”に移りました。現在も、明確な役職は設けておりませんが、工場長の不在により、ベテランに「社員の自立心を信じよう」というボトムアップへの意識が強くなり、ラインの責任者も、若手の意見を汲んで仕事を配分しています。

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それに伴い、情報伝達の効率化が課題として、浮き彫りになっています。

震災前は、作業日報、部品管理を工場長が担い、現場が挙がってくる情報を精査し、管理部門に伝える役割を担っておりましたが、工場長の穴を埋めきれていない現状です。管理部門を工場に併設し、現場との距離を近づけましたが、まだまだ足りておりません。

また、従業員のIT教育は、休日を使って説明会に派遣するなど、震災前から進めていました。ベテランはとかく敬遠しがちですが、粘り強くやっていきたいと考えております。若手は特に、スマートフォン、ipadなどへの興味を持っており、事業にうまく活用していくことを検討しております。

 

及川電機では、震災によって、社業を支える全世代がむしろ一体となって、モチベーションの向上、IT活用など、組織の新たな可能性が見い出されているように感じます。

東北共益投資基金では、及川電機が地域新生のさきがけの存在となるよう、引き続き、経営支援を中心に、幅広くサポートを続けてまいります。

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